傾聴とは心理学のテクニックのひとつでもあります。
私はスクールカウンセラーの先生と話をしていたら、対話中に
「あ、これは相手が悪いんだ」とか
「子供がいちばん苦しいんだな」とか
出来事に対して客観視出来るようになりました。
こういう表現で正しいのかわかりませんが、自分の内に持っていた感情を一旦『手放す』感覚です。
すると手放した感情を、カウンセラーの先生と一緒に
「あーでもないこーでもない」
と考えてみて
「じゃあ、選択肢はこのふたつですね」
「こんな言い方だと伝わるね」
と答えに導いてもらってるような雰囲気になります。
今は私側の気持ちを記しましたが、傾聴とはカウンセラーの先生側の姿勢です。
どうしていいかわからず、世の中に味方なんてひとりもいないと思いながら、スクールカウンセラーの先生と1時間お話をしただけで「わかった!こうすればいいんだ!」
とスッキリして帰宅出来るのは、先生の『傾聴』のおかげなのです。
傾聴:相手をよく理解し、気持ちを汲み取り、共感する聴き方
と言われています。カウンセラーの方は決して話す側の姿勢を否定しません。
例え間違っていても、ではなぜ間違った考えに至ってしまったのか?を一緒に考えて下さいます。
これ、実は子育てに役立つんです。
以前『聴く』の巻で触れたことに共通してきますが、傾聴はもっと高度なテクニックです。
聴くという行為自体が、なかなか大変です。他の考え事をしながら、というわけにはいかないので集中力が必要になります。
私自身のカウンセリングに戻りますが、私はカウンセリング中はとにかくいっぱい話したくて早口になり、一気に話します。
会話の中に
「えっとー」
「だからそれは……」
なんて考える言葉も入らないくらいに、これがわからない、子供の気持ちに寄り添っているのか、こんなふうに苦しい、どうしたら良いかわからない……とまくしたてます。
カウンセラーの先生はひたすら
「そうなんですね」
「悲しくなりますよね」
「そういう気持ちになるのは、よくわかります」⇒受動的な傾聴
ちょっと言葉に詰まると
「要するにこういうことが言いたかったんですよね?」⇒反射的傾聴
を繰り返します。
そして時折、私からの質問に答える際に
「先程おっしゃったような◯◯を……」
と私が使用した単語を繰り返したり、ご自身の経験談を交えてお話をなさいます⇒積極的傾聴
これをそのまま、育児にあてはめてみます。
「アヤカと喧嘩しちゃった」
「あら、喧嘩しちゃったの?」⇒受動的傾聴
「うん。帰りの地下鉄の中で、アヤカの失敗談を笑ったら『笑って欲しくなかった』って怒り始めて」
「アヤカちゃんのお話に笑ったら怒らせてしまったのね。あなたは怒らせるつもりなかったのよね」⇒反射的傾聴
「謝ったんだけど、許してもらえなくて。そのままアヤカの駅に着いたから、バイバイも言えなかった。どうしよう」
「そんなつもりじゃなかったのに、って事はよくあるよね。悪意があって笑ったんじゃないよって伝えられたらいいかもしれない。電話しにくいだろうから、メールしてみたら?」⇒積極的傾聴
かなり省略した会話ではありますが、こんな感じです。
これには相手の会話スピードに合わせる、相槌を繰り返す、などいろんなテクニックを駆使するとより良い関係になれるそうです。